本論文では1900年代の小岩井農場において, 農場経営が長期的に持続する要因となった, 畜産部門の多角化と牧草栽培の拡充が実施される過程を, 経営体制が事業内容に与えた影響に着目して検討した。 その結果, 畜産部門の多角化は1899年に岩崎家から経営を委託された御料牧場幹部によるトップダウンの意思決定で実施されたこと, 牧草栽培の拡充は1906年に岩崎家が農場を直営化した後, 現場からのボトムアップの提案で実施されたことを示し, 経営体制の変化が事業内容に大きな影響を与えたことを論じた。
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