「時計の調整作業のうち、テンワの片重りを取るという作業は欧米でも理解され、よく実行されているが、ひげゼンマイに関する等時性の修正に関しては、理論面での取り扱いが難しく、一般にはひげの振れ取りが行われているだけであるが、最近のメーカー仕様ではいろいろな開発も行われている。しかし、一般的にはひげの修正に関してあまり理解はされていない。
もしひげの内端が天真からスタートし、外端が無限遠にあるアルキメデス曲線であるとし、また、ひげ材料に問題がなければ完全にひげの復元力はテンプの回転角に比例し、理想的な等時性となるが、実際のひげは、内端がヒゲ玉で固定され、外端は有限な距離にあり、通常この内外端の部分からの復元力ではテンプの回転角度に比例しない力が発生する。
このような構造に対して、理論上の工夫をしてひげがどのような場合でも一般的な取り扱いができるような精密な振動方程式を作り、等時性の実際の姿を表現することを本稿の主眼としてここでは紹介し、外端が自由外端の場合の振動方程式の結果を示す。
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