理学療法おかやま
Online ISSN : 2759-2111
Print ISSN : 0919-9829
1 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
挨拶
  • 國安 勝司
    原稿種別: 挨拶
    2020 年 1 巻 1 号 p. 01
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
    この度、「理学療法おかやま」が数年の休止期間を経て刊行されることになりました。再刊行を目指し、学術誌編集委員会を立ち上げ、執筆要領、査読方法等を検討していただき、ようやく刊行となりました。今回は投稿論文数が少なく、やや寂しい再出発となりましたが、今後の発展のきっかけとなることを願っております。理学療法士による研究は、日本理学療法士協会の「理学療法学」をはじめ、様々な学術誌で報告されています。理学療法の研究論文であっても、中には内容が難しいと感じるものもあるかと思います。理学療法のエビデンスを上げるためには、やはりきちんとした方法による研究が必要であり、そのためにハードルが上がってしまうのは仕方のないことでもあります。日々進化、発展する医療技術に対応するために、我々は、関連の研究論文を読み、その知識を基に、理学療法の対象となる方々により良い治療をしなければなりません。自ら行った研究が、日々の臨床現場ですぐに活かせるような結果になればいうことはありませんが、それは非常に難しいです。しかし研究のきっかけは、日々の臨床業務から生じる素朴な疑問です。それを解決するためには、現状を客観的に捉えることが必要です。そのためにデータを取ったり、アンケートによる調査を行い、その特徴や傾向を知ることから始まります。もちろん、研究の方法論を勉強する必要はありますが、関連の先行研究を参考に、まずはやってみることが大切であると思います。研究方法が分からない時は、母校の先生方を頼れば、きっと快く指導してくださるはずです。結果的にきちんとした研究論文とならなくても、疑問を解決するためにいろいろ考えたことは、必ず役に立つと思います。岡山県理学療法士会の会員の皆様が、現場での素朴な疑問を解決するために行った研究や関連学術大会等で発表された内容を論文として、また、取り組まれている社会活動報告も含め「理学療法おかやま」に投稿していただくことを期待します。最も身近な学術誌として、皆様に親しんでいただけるよう、今後は研究および論文執筆の支援にも取り組んでまいりますので、本誌の発展にご協力をお願いいたします。
  • 永冨 史子
    原稿種別: 挨拶
    2020 年 1 巻 1 号 p. 02
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
    世の中にある無数の職業から、私たちは理学療法士を選び、日々働いています。楽しい時、やりがいを感じる時、今日は休みたいなあ・・・働くってそういうことの繰り返しかもしれません。さて本邦で、理学療法士が国家資格となったのは1964年です。理学療法士・作業療法士の養成校は東京に一校のみで日本人の教員はいなかったので講義はすべて英語だったそうです。当時理学療法士の国家試験は実技試験もあり、大変厳しいものだったそうです。第一期生卒業の1966年に日本理学療法士協会が発足、第一回日本理学療法士学会が開催されました。1974年に世界理学療法連盟(WCPT)の会員国となり1990年に日本学術会議の会員として学術研究団体として認められ、1999年には世界理学療法連盟学術大会を日本で開催しました。その後学術大会と名称を変え、専門領域に分かれた学会へと変化し、今後を模索しています。30年前、人工股関節置換術後のベッド上安静は3週間でした。現在は術翌日から歩行が許可されます。脳は可塑性がなく脳卒中の理学療法は代償運動中心と学んだのもそう昔ではありません。長い間変わらないのは、理学療法士の仕事は理学療法の提供であるということです。患者さんとスタッフと家族と、理学療法士は活動を続けています。病態に関する研究や術式の進歩に伴い、理学療法の内容も変わり、ベストな方法はなんなのか、効果はあるのか、考え続ける必要があります。研究論文や症例報告1本で「わかること」の力は非常に弱く、世紀の大発見や治療技術の変革に直結することはまずありません。しかし、日々の治療の振り返り、研究、それを積み重ねて来た何十万何百万の研究や論文の結果、私たちが学ぶ教科書や本があり、エビデンスとして次の治療へ生かされます。ごくごく一端ではありますが理学療法おかやまも、それを担うためにあります。論文をまとめることは多くの理学療法士にとり、働くことの中心ではないかもしれません。しかし自分の疑問・経験・患者さんの頑張りを、まとめてみましょう。働く理学療法士として、必ず次の世界が見えるはずです。
症例報告
  • 和久野 一貴
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 1 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー

    【はじめに】パーキンソン病(Parkinson’s Disease, PD)における薬物療法において,レボドパ・カルビドパ配合経腸用液(Levodopa-Carbidopa Intestinal Gel, LCIG)が国内で導入されている。この度LCIG導入後に運動症状は改善が見られたが,精神症状の為に日常生活動作(Activities of Daily Living, ADL)能力の乖離が生じ退院支援に難渋した症例を経験したので報告する。【対象】LCIGを新規に導入したPD症例(60歳代,女性,Hohen-Yahrの重症度分類Stage III) とした。【評価方法】LCIG導入後の日内変動は自覚的な日内変動を使用し評価した。PDの精神症状と運動症状をMovement Disorder Society-The Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (MDS-UPDRS)日本語版のpart I,IIIにて評価し,ADL能力は機能的自立度評価表(Functional Independence Measure, FIM)を用いて評価しそれぞれをLCIGの投与量に伴い経過を追った。【経過と介入】本症例において,LCIG投与開始後に日内変動と運動機能には改善が得られたが,精神症状が増悪し日常生活動作(Activities of Daily Living, ADL)の自立は困難となっていた。自己効力感,家族の凝集性の観点から介入を行うことでADL能力の改善を認めた。【考察】LCIG投与により運動症状の改善が得られた症例においても,精神症状が原因でADLの自立に難渋することがある。このような症例では,理学療法介入を通して自己効力感の獲得や家族の凝集性が増加することでADL能力の改善に繋がる。

研究報告
  • 藤井 美次, 河口 滉, 羽村 景子, 鈴木 健朗, 須山 晋輔, 宮田 昌代, 斎藤 満, 井上 茂樹
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 1 巻 1 号 p. 6-10
    発行日: 2020/07/25
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究では高齢女性を対象にスタンス幅の異なる反復起立運動による介入の影響を比較検討することを目的に行った。【方法】対象は介護老人保健施設に入所している高齢女性15名とした。方法は無作為にミディアムスタンスあるいはナロースタンスの2群に分けるクロスオーバー比較試験を用いて実施した。測定項目は下肢筋力(膝伸展筋力・膝屈曲筋力),握力,Basic Movement Scale(以下,BMS)とした。【結果】介入前後における膝伸展筋力では両介入方法で有意な向上を認め,膝屈曲筋力ではナロースタンスに有意な向上を認めた。また,BMSではナロースタンスの立ち上がりと着座に有意な向上を認めた。【結論】反復起立運動ではスタンス幅に影響がなく膝伸展筋力強化を期待でき,膝屈曲筋力強化と立ち上がりならびに着座動作の向上にナロースタンスが有効である可能性が示唆された。

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