【はじめに】パーキンソン病(Parkinson’s Disease, PD)における薬物療法において,レボドパ・カルビドパ配合経腸用液(Levodopa-Carbidopa Intestinal Gel, LCIG)が国内で導入されている。この度LCIG導入後に運動症状は改善が見られたが,精神症状の為に日常生活動作(Activities of Daily Living, ADL)能力の乖離が生じ退院支援に難渋した症例を経験したので報告する。【対象】LCIGを新規に導入したPD症例(60歳代,女性,Hohen-Yahrの重症度分類Stage III) とした。【評価方法】LCIG導入後の日内変動は自覚的な日内変動を使用し評価した。PDの精神症状と運動症状をMovement Disorder Society-The Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (MDS-UPDRS)日本語版のpart I,IIIにて評価し,ADL能力は機能的自立度評価表(Functional Independence Measure, FIM)を用いて評価しそれぞれをLCIGの投与量に伴い経過を追った。【経過と介入】本症例において,LCIG投与開始後に日内変動と運動機能には改善が得られたが,精神症状が増悪し日常生活動作(Activities of Daily Living, ADL)の自立は困難となっていた。自己効力感,家族の凝集性の観点から介入を行うことでADL能力の改善を認めた。【考察】LCIG投与により運動症状の改善が得られた症例においても,精神症状が原因でADLの自立に難渋することがある。このような症例では,理学療法介入を通して自己効力感の獲得や家族の凝集性が増加することでADL能力の改善に繋がる。
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