この論文の目的は、日本語学習者が日本語を聞いたり読んだりしたときの理解過程を明らかにすることである。その目的のために、日本語学習者に日本語の音声を聞いてもらったり日本語の文章を読んでもらったりして、その音声や文章をどう理解したのかを自分の母語で話してもらう調査を行った。その結果、たとえば(1)や(2)のような理過程程が明らかになった。
(1) 学習者は、複雑な文法構造を持つ文を、文法的に分析するのではなく自分が持っている背景知識から語用論的に解釈し、その文の意味を不適切に理解することがある。
(2) 学習者は、わからない部分を、その前後にある文法形式の機能やその前後の文脈から語用論的に解釈し、その部分の意味を適切に推測することがある。
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