本稿では、勧誘承諾後の「相談部」に焦点を当て、フェイスワークの観点から、日本語母語話者(JNS)とマレー語母語話者(MNS)の談話データを分析した。その結果、JNSとMNSの双方がフェイス均衡をうまく調整しながら円滑なコミュニケーションを行ってはいるが、フェイス均衡の調整方法は2群間で異なることが明らかとなった。JNSはフェイス均衡を大きく崩さないように配慮し、一度生じたフェイス不均衡をいち早く収束させていた。一方のMNSは、より直接的な表現を用いてフェイス均衡を一旦大きく崩すものの、相手のフェイス充足度も大きくしたり、会話参加者が互いに同じようなフェイス侵害を行ったりすることで、フェイス均衡を回復していた。