Estuary (感潮河川) の一つである吉井川において河口より上流8km間, 7断面において潮位, 潮流, 塩分の流軸方向および横断方向の分布と変動を明らかにし, 特に著者の一人が先に行った巴川での例と比較し, 潮差が平均水深に対して無視できない川での物質の輸送機構について検討した。潮差が無視できる場合の例として, 東京湾湾口での実測例と比較を行い, すでにFischer (1972) が明らかにした速度シアの効果に比較して, 潮汐変動による断面変化の効果がどの程度であるかを明らかにした。また, Dyer (1974) が平均水深に対して潮差が無視できない場合での, 成層状態の異なるEstuaryについて実測例よりシア効果を見積っているが, 同様にして, 潮差が無視できない吉井川, 巴川と無視できる東京湾湾口について解析し, Dyerらの解析例と比較した。その結果, 吉井川における流軸方向の分散係数を求め, 横断方向での実測値を用いて計算した分散係数と比較し, 検討した。
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