世界自然遺産に2021年7月に登録された「奄美大島,徳之島,沖縄島北部及び西表島」において新たな外来種問題の発生予防を目的に,ペット飼養実態把握や意識変容を明らかにするために,本地域の住民(44,354世帯)を対象にオンラインアンケート調査を2022年6~8月の2ヶ月間実施した.回答数は408件で,有効回答数は378件(回答率0.85%)であった.有効回答のうち,ペット飼育世帯(57.7%)が非飼育世帯(42.3%)よりやや多く回答を寄せた.飼育中のペットの種類は,1位イヌ(39.4%),2位イエネコ(36.6%),3位熱帯魚(5.3%)などであった.エキゾチックペットも含まれていた.外来種問題を起こさないために,「適正飼養を知り守っている」の回答者(83.5%)が多数であった.飼育場所は,ネコでは完全室内飼養(79.2%)が多く,野放し(7.9%)もあった.適正飼養に関する情報を得ることで,飼養の意識変容が起きることが明らかになり,適正な情報提供や教育が必要であると考えられた.本地域において,行政やメディアなどによる普及啓発は頻繁に行われてきており,今後より細やかな普及啓発や指導が必要と考えられる.
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