「理学療法とちぎ」が発行されてから本巻を以って14 巻目となる.編集部は本誌の発刊を通して栃木県内の学術活動を支援することを目的としている.本誌は研究論文はもとより,症例報告を活性化させる土壌となることを目的に創刊され,これまでに症例報告を含む多くの論文を掲載している.今後も多くの症例報告が投稿されることを期待しているが,論文を作成するに当たって,その質を担保するためにCARE ガイドラインについて解説する.
[はじめに]栃木県の呼吸器および心大血管疾患リハビリテーションの現状と課題を明らかする.[対象と方法]理学療法士が在籍かつ内科・呼吸器内科/外科・循環器内科/外科を標榜する医療施設75施設を対象としアンケートを実施した.[結果]45施設から回答を得た.呼吸器リハビリテーションは27 施設(15 施設で外来実施),心大血管疾患リハビリテーションは16 施設(11 施設で外来実施)で算定していた.算定していない理由の多くは人材の確保困難,スペース・機材面の確保困難であった.[考察]呼吸器および心大血管疾患リハビリテーションの全体実施率は低いが,算定施設で外来実施率が高い特徴がある.県の実情に合わせた普及が必要である.
[はじめに]栃木県内の回復期リハビリテーション病棟における心臓リハビリテーションの現況調査を目的とした.[方法]厚生局の資料を参考に回復期リハビリテーション料を算定している17 施設を対象にWEBによるアンケート調査を実施した.[結果]回復期病棟で心大血管リハビリテーション料を算定している施設はなかった.届け出が困難な理由は「循環器内科医・心臓血管外科医が不在,もしくは確保が困難」が最多で,ついで「経験を有する専従の理学療法士・作業療法士または看護師の確保が困難」が多かった.[結論]回復期心臓リハビリテーションの拡充のためには,循環器内科医の協力およびリハビリテーションスタッフの育成が必要である.
[はじめに]急性期脳卒中患者へのオーダーメイド長下肢装具を用いた理学療法実践と有効性の究明に取組んだ.[対象と方法]脳卒中患者にオルトップセントラルKAFO を利用した理学療法を実践した.症例1,50 歳代女性,右視床出血.症例2,60 歳代女性,右心原性脳塞栓症.2 症例とも随意運動はなく,基本動作全介助,可及的速やかに長下肢装具作製を行い,早期立位・歩行練習を提供した.[結果]2 症例とも転院時に運動機能および起居移乗動作介助量が軽減した.[考察]急性期で歩行獲得は困難だったが,長期的効果と予後を見据え長下肢装具を作製することに検討の余地がある.[結論]急性期の長下肢装具作製が有益である可能性がある.
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