一般に心理学領域で調査用紙等の尺度を構成する際,因子分析的手法を用いて項目の組合せを行なう.因子分析は通常1回行なわれ,これによって得られた尺度は普遍的な信頼性を付与されたように扱われるが,このような扱われ方は作成された尺度の再現性が証明されない限りは困難である.今回は,因子分析を通して作成される尺度の信頼性について検討したが,所与の項目を因子負荷量に準じて整理した場合,再現が困難であることが分かった.すなわち,ある特定の時空間において構成された尺度は,他の時空間でも再現されるとほ限らないのである.この結果から一つの因子分析によって得られる一つの尺度構成は,複数の可能性の一つと考えることが適当であることが分った.
抄録全体を表示