目的:本学では昭和62年より医学科生に対し介護体験実習を行い,高い教育効果を得ているが,実際に実習体験の前後でどのような学習効果が得られるかが課題である。そこで,実習前後で評価を行い,実習における学生の意識変化の評価を行うことを目的とした。
方法:対象は医学科の1年生計90人。平成18年度の全学共通のカリキュラムである『医療学入門』において,介護体験実習を評価した。体験実習の前後で11項目からなる質問表により,実習前と実習後をそれぞれ4段階で評価した。前後の評価は,ウィルコクソンの符号順位検定を用い,5%未満を有意水準とした。
結果:実習内容全体に関しては,ほとんどの項目で実習後得点が有意に上昇した。特に実習前に意識の低い学生に対して大きな効果があった。また実習以前に介護施設の訪問経験のある群に関しては,基本的な生活介助項目の重要性が,経験のない群に関しては介護施設特有の介助や医師像を考える機会として効果が高かった。更に本調査を通して介護特有なコミュニケーションの重要性等が示唆された。
結論:介護体験実習が,介護に特有なケアの重要性を考える機会であるとともに,基本的な生活介助や将来の医師像を考える重要な体験であることが示された。
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