YAKUGAKU ZASSHI
Online ISSN : 1347-5231
Print ISSN : 0031-6903
ISSN-L : 0031-6903
おすすめ記事
96件中1~20件の論文を表示しています
  • 145 巻 (2025) 11 号 p. 907-915
    一般用医薬品販売における薬局薬剤師による相談実態に関する後方視的調査 もっと読む
    編集者のコメント

    本後方視的研究では,OTC医薬品販売における薬局薬剤師の関与と薬学的判断を必要とする薬剤関連問題が検討された.その結果,特定のOTC医薬品の購入を希望した来局者のうち,薬剤師の提案により販売する商品が変更されたケースは15.1%であった.また,販売する商品の変更頻度は,第2類医薬品において最も高く,最も多い薬剤関連問題は「禁忌」に該当したことであった.これらの知見は,薬局薬剤師がOTC医薬品のリスク区分に関わらず,OTC医薬品使用の安全性と有効性を確保するうえで薬局薬剤師が果たす重要な役割を示している.

  • 145 巻 (2025) 10 号 p. 849-856
    生命科学を専攻する非薬学部生に対する薬学講義の有用性評価:質問紙調査 もっと読む
    編集者のコメント

    本調査では薬学部以外の生命科学を専攻する学生に対する薬学講義の有用性を評価した.回答者の98.6%が薬学講義が自身の専攻分野における学習の向上に寄与したと回答した.Customer Satisfaction分析では、「痛み,精神,鎮痛薬,精神病薬」や「薬の副作用」といった講義テーマが重点維持分野と特定された.一方、「血圧、治療薬」「薬の相互作用」は改善が必要とされた.本研究は薬学講義が生命科学を専攻する学生の学習深化に寄与し得ることを示唆し、薬学教育の価値を強調するものである.

  • 145 巻 (2025) 9 号 p. 791-799
    男性薬局薬剤師の身だしなみが患者の信頼感に与える影響に関する予備的調査—コンジョイント分析による検討— もっと読む
    編集者のコメント

    本研究は,コンジョイント分析を用いて,男性薬局薬剤師の身だしなみが患者の信頼感にどのように影響するかを定量的に検討した.特に,白衣の清潔さは髪型やアクセサリーよりも信頼感に強く影響することが示された.オンラインでの服薬指導が進展するなか,外見による第一印象の重要性は今後さらに高まると考えられる.これらの結果は,日本における薬剤師の専門職としての身だしなみ基準を再考する必要性を示唆している.

  • 145 巻 (2025) 8 号 p. 707-722
    Prevention of Serious Adverse Drug Reactions and Economic Effects Through Community Pharmacists’ Inquiries, Home Care, and Medication Follow-up: From The Japanese Nationwide Pharmacy Collaboration Survey in 2023 もっと読む
    編集者のコメント

    本研究では,全国の薬局薬剤師による疑義照会,在宅業務,および服薬フォローアップによる副作用回避効果について検討した.その結果,これら3つの薬剤師業務は,重篤な副作用の回避に寄与し,医療費の大幅な削減にもつながることが明らかとなった.重篤な副作用回避および疑義照会を介した薬剤変更による医療費削減効果も含めると,年間の医療費削減額は約420億円と推計された.本研究の結果は,これら3つの対人業務を通して,薬局薬剤師が薬物治療の質的向上に貢献していることを示している.

  • 145 巻 (2025) 7 号 p. 629-637
    オレキシン受容体拮抗薬推進活動が睡眠薬・抗精神病薬の処方動向に与える影響:分割時系列解析研究 もっと読む
    編集者のコメント

    本研究では,オレキシン受容体拮抗薬であるレンボレキサントの集中的な推奨により,その処方率が有意に増加したことが示された.同時に,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬やせん妄治療に用いられる抗精神病薬の不適切使用が大きく減少した.患者の状態に変化は見られなかったものの,これらの結果は,睡眠管理におけるより安全で適切な薬物療法への転換を示唆している.本研究は,臨床現場での薬物使用の最適化を目指す医療従事者にとって有益な知見を提供すると考える.

  • 145 巻 (2025) 6 号 p. 553-560
    血清中リネゾリド濃度測定における高速液体クロマトグラフィ分析装置の性能評価 もっと読む
    編集者のコメント

    LM1010は,治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring: TDM)のための高速液体クロマトグラフィ分析装置であり,臨床検体の迅速な測定及びデータの自動解析が可能である.本研究では,リネゾリド(linezolid: LZD)の血清中濃度測定におけるLM1010の分析性能を評価し,LC-MS/MS法との強い相関(r = 0.991)と,異なる3台のLM1010間での高い測定再現性が示された.さらに,−30°CにおけるLZDの48週間の保存安定性も確認された.これらの結果は,LM1010が臨床におけるLZDのTDMに応用可能であることを示唆している.

  • 145 巻 (2025) 5 号 p. 461-468
    全身作用型貼付剤フェンタニルパッチからのフェンタニル吸収動態解析におけるSPLINE–デコンボリューション法の有用性に関する研究 もっと読む
    編集者のコメント

    有効血中フェンタニル濃度の範囲はたいへん狭い.そのため、経皮吸収によるデュロテップ®MTパッチの吸収動態の解析は重要である.Wagner-Nelson法やSPLINE-Deconvolution法を含めて吸収動態の評価には5つの解析方法がある.SPLINE-Deconvolution法によって得られたデュロテップ®MTパッチの経時的にみたフェンタニルの吸収速度は3つの振幅を示し、吸収の定常状態に達した.本研究より、SPLINE-Deconvolution法はデュロテップ®MTパッチからのフェンタニルの吸収動態を評価するのにもっとも適した方法であることが示された.

  • 145 巻 (2025) 4 号 p. 351-357
    アルファカルシドールからエルデカルシトールへの変更が血清Calcium(Ca)値と腎機能に及ぼす影響 もっと読む
    編集者のコメント

    エルデカルシトール(eldecalcitol: ELD)は骨形成を強力に促進するが,ELDが血清Ca値や腎機能に有意な影響を及ぼすかどうかは不明である.本研究では入院患者におけるアルファカルシドール(alfacalcidol: ALF)からELDへ切り替えた際の血清Ca値と腎機能への影響を後ろ向きに調査した.ELD切り替え群では,2週目の血清Ca値はすべての患者で上昇していた.この結果は,ELDを開始または変更する際には,2週目に血清Ca値を測定すべきであることを示唆している.

  • 145 巻 (2025) 3 号 p. 247-256
    薬局薬剤師から他職種への情報共有を促進するための在宅支援報告書記載内容についての考察 もっと読む
    編集者のコメント

    本研究では,薬局薬剤師が在宅支援を実施した際に作成する「訪問薬剤管理指導報告書」,「居宅療養管理指導報告書」に記載する方法と内容を改善することで,他種職との情報共有が強化されるかを評価し,その記載内容について量的に分析を行った.本研究で得られた知見は,薬局薬剤師が在宅で得た情報を有効に活用し,チーム医療を構築する上で有益な情報であると考えられる.

  • 145 巻 (2025) 2 号 p. 155-161
    薬物乱用のおそれがある日本のOTC医薬品の特徴に関する調査 もっと読む
    編集者のコメント

    日本で社会問題化している若年層でのOTCによる薬物乱用については,指定第2類一般用医薬品のかぜ薬(内用),鎮咳去痰薬,鼻炎用内服薬に対して注意を払う必要性を明らかにし,薬剤師だけではOTCによる薬物乱用を防止することが難しく,登録販売者との連携が重要であることを提案している.臨床現場の薬剤師だけではなく,大学教員や学校薬剤師,登録販売者などに広く周知する価値がある調査と思われ,有益な情報であることを示唆している.

  • 145 巻 (2025) 1 号 p. 61-70
    診療情報データベースを用いた非小細胞肺がん患者に対するペメトレキセド含有化学療法における血液毒性へのメトホルミン併用の影響評価 もっと読む
    編集者のコメント

    経口抗糖尿病薬であるメトホルミンは,ビタミンB12の吸収低下作用を有する.著者らはこの点に着目し,ペメトレキセドのようなビタミンB12 の補給が必須である医薬品の副作用リスクが,メトホルミンの併用により上昇するという仮説を立て,その検証をおこなった.その結果,ペメトレキセドの血液毒性リスクはメトホルミンを併用しても顕著には上昇しない可能性が示された.この知見は,安全ながん化学療法遂行のための一助となるものと考えられる.

  • 144 巻 (2024) 12 号 p. 1125-1135
    ソーシャルメディアにおける過量服薬(オーバードーズ)に関連する発信の解析 もっと読む
    編集者のコメント

    医薬品の不適切使用,特に過量服薬(overdose:OD)は,若年層において深刻な社会問題となっている.本研究では,広く普及しているソーシャルネットワーキングサービスX®(旧Twitter®)上の日本語で記載された投稿を,自然言語処理技術を用いて分析した.ODに関連する投稿には処方薬と市販薬の両方が含まれており,その多くが隠語を用いて記載されていた.このようなソーシャルメディア上のOD関連投稿のモニタリングは,ハイリスク者の早期発見や効果的な予防策の立案に寄与する可能性がある.

  • 144 巻 (2024) 11 号 p. 1009-1018
    薬学生の臨床準備教育における技能修得を促進するVirtual reality(VR)トレーニングツールの開発とその教育効果の検証—水剤の調製— もっと読む
    編集者のコメント

    バーチャルリアリティ(virtual reality:VR)技術は,新しい教育ツールとして認知されつつある.著者らは,初学者が効果的に薬剤調剤スキルを習得できるようにVRトレーニングツールを開発し,従来のテキスト(Tx)方式と比較してその有効性を評価した.12人のVR参加者と10人のTx参加者による研究では,VR 学習者は一部の調剤スキルにおいて有意に優れた能力を示した.VR 学習者はタスクをより速く完了したが,多くの Tx 学習者はより多くの時間を要した.この結果は,VRが初学者に実践的な調剤スキルを教える効果的な方法であることを示唆している.

  • 144 巻 (2024) 10 号 p. 957-962
    造血幹細胞移植推進拠点病院における抗がん薬投与患者の汗に関する曝露対策の実態調査 もっと読む
    編集者のコメント

    がん薬物療法における職業性曝露対策ガイドライン2019年版(ガイドライン2019)発刊後の抗がん薬投与患者の汗や衣類の取り扱いに関する曝露対策の実態を把握することを目的として調査した.造血幹細胞移植推進拠点病院95施設で勤務する看護師を対象にアンケートを実施した.回収率は84.2%であった.本調査により,個人防護具の着用や衣類の取り扱いがガイドライン2019に則っていない可能性が示唆された.

  • 144 巻 (2024) 9 号 p. 887-896
    異なる方法で調製したブロー氏液及びネオ・ブロー氏液の安定性と抗菌活性の評価 もっと読む
    編集者のコメント

    ブロー氏液は13%酢酸アルミニウム液であり,難治性の中耳炎の治療に用いられている院内製剤である.本研究は異なる調製法で調製したブロー氏液とネオ・ブロー氏液の複数の処方について,調製の容易さ,ブロー氏液の安定性を物理化学的な方法と抗菌活性をディスク法により評価したものである.本研究により得られた基礎的データは,病院毎に処方の選択をする際に活用可能な情報となる.

  • 144 巻 (2024) 8 号 p. 805-813
    A Nationwide Survey on Medication Follow-up Care by Community Pharmacists: From The Japanese Nationwide Pharmacy Collaboration Survey in 2023 もっと読む
    編集者のコメント

    本論文は薬局薬剤師によるフォローアップ事例を全国的に調査した初めての報告である.実臨床におけるフォローアップの実施率や内容,手段,対象薬剤等の情報が収集されている.フォローアップを介して薬局薬剤師が薬物療法の適正化に貢献していることがうかがえる内容であり,今後,効果的なフォローアップを実施していく上で,有益な情報となる.

  • 144 巻 (2024) 7 号 p. 749-754
    Subsidy Programs for Seasonal Influenza Vaccination of Children and Pregnant Women in Japanese Municipalities もっと読む
    編集者のコメント

    わが国において小児や妊婦の季節性インフルエンザワクチンは任意接種であるが,自治体によっては独自の助成制度を設けている.一方,自治体による助成制度の全国的な実施状況は随時把握されていない.本研究は,全国の自治体を対象とした調査を行うことにより,小児および妊婦を対象とした2019/2020の助成実施実態を明らかにした.先行研究以降,小児を対象とした助成制度は広がりが見られた.一方,妊婦に対する助成制度は限定的であった.

  • 144 巻 (2024) 6 号 p. 675-683
    オリーブ農園におけるオリーブアナアキゾウムシ忌避剤の実証試験 もっと読む
    編集者のコメント

    オリーブ樹に寄主するオリーブアナアキゾウムシは,日本におけるオリーブ栽培の最大の障害である.本論文は,実験室でオリーブアナアキゾウムシに対する忌避作用が確認された植物由来の芳香性化学物質が,オリーブ農園においても忌避作用を有することを実証した報告である.環境に優しい本化学物質をオリーブアナアキゾウムシ忌避剤として用いることにより,有害殺虫剤の使用量を削減し,総合的病害虫管理に基づくオリーブ栽培を行うことが可能となる.

  • 144 巻 (2024) 5 号 p. 553-565
    抗腫瘍性環状ペプチドRA-VIIのアナログ合成と構造–活性相関研究 もっと読む
    編集者のコメント

    本総説は,著者が実施した生薬茜草根に含有される抗腫瘍性環状ペプチドRA-VIIのアナログデザインと合成,および茜草根より新たに単離した類縁化合物から得た構造-活性相関についての知見について述べている.ペプチド化合物の側鎖構造や骨格構造だけでなく,配座構造の違いが活性におよぼす影響に触れており,異常アミノ酸を持つ生理活性環状ペプチド化合物のアナログ合成を行ううえで,示唆に富む内容である.

  • 144 巻 (2024) 4 号 p. 339-344
    ニトロキシルラジカルと電子スピン共鳴を利用した酸化ストレス関与疾患のメカニズム解析 もっと読む
    編集者のコメント

    ESRによる活性酸素の測定では,in vivoin vitroかに関わらず,ニトロキシルラジカルをプローブとした間接的な評価となる.このため,各種疾患と酸化ストレスとの関連を評価するためには,適切なプローブの選択や,必要に応じたプローブの修飾などの工夫が重要となる.本総説ではニトロキシルラジカルの体内動態に関する検討や,アシル保護プローブを用いた敗血症モデルマウスのin vivoレドックス評価,in vitroにおける光過敏症メカニズムの検討について紹介している.

feedback
Top