オージェ電子
分光 (Auger Electron Spectroscopy: AES) はその発端を1923年のP. Augerの霧箱実験に発し,歴史的背景は古い.
オージェ電子
の典型的なスペクトル位置が表面に最も敏感な10~1000eVのエネルギーの物が容易に計測できることから, 1960年台の表面研究の隆盛の一助となり,電子分光器として商品化が促され,今日のほぼ完成に近い,きわめて使いやすい機器が市販されるに至っている.しかしながら定量性については,強度軸とエネルギー軸のいずれもがあいまいな現実にある.われわれは同心円筒鏡型
オージェ電子
分光器 (GMA) について,強度軸については相対論的電子軌道の効果を実験的に,エネルギー軸については背面散乱1次電子を標準に使い,さらに2次電子の立ち上がり特性を調べることにより,仕事関数の補正を行う方法を自己無矛盾的に実行できることを見いだした.これらの手法により強度とエネルギーの両方の軸がそろった絶対計測
オージェ電子
分光法が可能となった.
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