近年の, 自然環境や生態系の保全, 良好な景観の形成, 農業・農村の多面的機能に対する国民的関心の高まりは, 農業・農村を巡る利害関係概念を拡大させ, 計画行政のあり方に影響を与えている. 今後の計画過程では, これまで以上に多様な主体の参加と合意形成が必要になる. 適切な参加主体の選定と参加プロセスの設計・運営を行うためには, 計画過程への参加が求められる根拠を明確にする必要がある. このような認識に立ち, 本稿では, 今後の農村計画における参加主体の選定に関わる論理の構築に資するべく, 既往研究における言説の整理・検討を行った. これにより, 計画過程への参加は1)行政がもつ計画裁量権の統制, 2) 関係者の権利利益の保護, 3) 計画の民主性の向上の三つの観点から求められることを明らかにした. また, 現行の農村計画制度において, これら三つの観点に対してどのような配慮がなされているかを議論した.
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