私たちが日常的に目にする動画は,一般的に間欠的な視覚刺激として呈示され,φ現象という視覚特性によって仮現運動として知覚されたものである。このような動画知覚の説明方法は,視覚心理学における共通理解とされてきたが,近年の幾つかのアニメーション研究においては,光学的な遮断を用いない,機械工学的なステップ運動による視覚刺激からもφ現象が生起することが示唆されている。これまでの映画史において動画メディアは,常に光学技術と共に発展し,故に光学的な装置として設計されて来た。しかしここで,従来とは異なる,ステップ運動による視覚刺激を用いた方法で動画メディアを再設計することができれば,現在の映像システムとは全く異なる新しい動画メディアの誕生が期待される。そこで本論では,光学的な遮断を用いない立体動画装置の設計とその検証を実施した。
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