本研究は,京都の北山に位置する大文字山,衣笠山,朱山,大内山を対象として,それらの山容景観を「見え方」と「見方」という観点から考察した.「見え方」に関しては,任意の視点から山容が判断できるように,山の見え方が共通する領域を把握した.そして,それらの領域内における歴史的な山の見方,その見方がされた視点場,及び視点場からの見え方を明らかにした.その結果,山を霊山,神体山,眺める対象とする見方が把握でき,これらの見方がされた視点場は山容が顕著に現れる領域に分布することがわかった.つまり,山容が顕著に見える場所には,先人が山容景観に価値を見出してきた見方があり,そこから見える山容景観は文化的価値のある景観と言える.このような山容景観を文化資産として認識し,視点場と共に保全していくことは重要である.
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