クロロフィル
d (Chl
d) を主要色素として酸素発生光合成を行なう
Acaryochloris marina (
A.marina) 生細胞を用いて熱発光測定を行なった。未処理試料熱発光は42℃付近にピークを示し、このバンドはDCMU存在下では減少し、21℃付近に新たなピークが出現した。これより42℃付近のバンドはS
2Q
B-、21℃付近のバンドはS
2Q
A-状態からの熱発光と考えられる。これを同じ条件下のシアノバクテリア
Synechocystis PCC6803と比較するとS
2Q
A-由来のピーク温度は3℃高く,S
2Q
B-由来のピーク温度は15℃ほど高温側であった。Chl
d をもつ
A.marinaの光化学系IIでは、Q
AとQ
B間のエネルギー差が大きい事を示していると考えられる。短波長カットフィルタを用いた実験より
A.marinaはホウレンソウよりも長波長側おそらく励起状態のChl
dから熱発光を出すと考えられる。フラッシュ数に依存して熱発光バンドのピーク温度は変化した。これらの結果と遅延蛍光の実験データを理論式で解析し、熱力学パラメータを求め、酸化還元エネルギ-準位の評価、検証を行なった。
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