Mandibular kinesiographの機種K5A-Rでは, 下顎運動の記録保存は, 本体のスクリーン画面の写真記録によっている。パーソナルコンピュータ (パソコン) を併用し, 下顎運動の記録をデジタルデータとして残し, またパソコンのディスプレイ画面に表示するためのハードウェアとプログラムを作成した。K5A-Rにおいて下顎運動の記録時に, 入出力端子からその運動に対応した垂直, 前後, 側方, 速度の電圧信号が出力されていることを利用し, パソコン (PC8801) における1/60秒ごとの割込時にこれらの信号をA/D変換しメモリに保存した。このデータをディスクに書き込み, またメモリに読み込むプログラムおよびメモリ上の下顎運動のデータをディスプレイ画面に矢状面, 前頭面, 速度および水平面の下顎運動のX-Yトレースとして表示するプログラムを機械語およびBASICを用いて作製した。本報告に示した方法により, 写真記録のみのmandibular kinesiographの機種において, 下顎運動の記録をファイル上に保存し, 後にパソコンのディスプレイ画面上に再生表示することが可能となり, その記録時間も120秒以上でK5A-Rの特徴を生かし, 顎運動の診断・説明表示に有用なものとなった。
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