本研究では, 2000年9月から2001年3月にかけて年内草および再生した春1番草および春2番草における収量および飼料品質の向上を目的として, いもち病に抵抗性をもつ極早生イタリアンライグラスの育成系統山系31号および長崎県奨励品種ミナミアオバと極早生エンバクとの晩夏播きにおける混播栽培を行い, 各草種の単播栽培と比較して, その混播効果を調査した.
イタリアンライグラスの単播栽培では, 山系31号はミナミアオバ
よりもい
もち病罹病程度が低く, いもち病による欠株がみられないため, 茎数密度が高かった.エンバクとの混播栽培では, 山系31号の場合ミナミアオバの場合
よりもい
もち病による枯死が少ないため, 年内草および春1番草におけるイタリアンライグラスの比率が高く, 年内草の粗タンパク質含有率および
in vitro乾物消化率がともに高くなる傾向にあった.さらに, 山系31号とエンバクとの混播では, 山系31号単播よりも年内草の乾物収量, 粗タンパク質収量および
in vitro可消化乾物収量がいずれも高かった.
したがって, 山系31号は, 長崎県において普通期トウモロコシ収穫後にあたる9月上旬の晩夏に播種が可能であり, エンバクとの混播栽培によって, 従来の品種に比べ年内草および3回刈合計における乾物収量と栄養収量の改善が認められ, 安定多収の新たな作付け体系の可能性が示唆された.
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