従来より精巣の男性ホルモンの抑制がラット膀胱発癌を抑制すると報告されてきた. 今回, 我々はN-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamine による雄性ラット (Wistar 系9週齢) 膀胱発癌実験系にLH-RH
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を投与し, 本剤投与による視床下部―下垂体―精巣機能系の変化が発癌のどの時期にどのように作用して癌の発生を抑制しているかを検討した. ラットは以下の5群に分け, 全例8週間0.05%のBBNを経口投与後, さらに16週間飼育した. 第1群 (Control 群) 無処置群. 第2群 (Initiation 群)LH-RH
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・デポーをBBN投与2週前と投与開始2週後皮下注. 第3群 (Promotin 群) LH-RH
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・デポーをBBN投与開始6週後より4週おきに皮下注. 第4群 (Full term 群) LH-RH
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・デポーをBBN投与開始2週前より4週おきに皮下注. 第5群 (去勢群) BBN投与開始1週前に両側精巣摘出. 以上より, (1) 去勢術よりもLH-RH
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・デポー投与の方がより強く膀胱発癌を抑制すること, (2) Promotion 期にLH-RH
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・デポーによってテストステロンが抑制される方が膀胱発癌抑制が強いこと, (3) 膀胱発癌抑制には視床下部―下垂体―精巣機能系におけるLH, FSHなどの androgen regulation system の関与もあり得ることが結論として得られ, さらに, (4) LH-RH
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・デポーが直接的に発癌抑制に関与した可能性もあることが示唆された.
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