我々は気流閉塞のみられない成人男女240名を対象として, 口腔内圧法による最大吸気筋力 (PImax), 最大呼気筋力 (PEmax) の加齢変化を検討した. PImaxは, 男女ともそれぞれ加齢にともない低下した. PEmaxも, 男女とも加齢によって低下がみられた. PImax, PEmaxは, それぞれ身長, 体重, 全肺気量, 握力と有意の相関がみられた. さらに年齢, 身長, 体重, 握力を説明変数として多変量解析を行うとPImaxについては男女とも握力のみが独立予測変数として検出され, PEmaxについては男性は握力のみが, 女性は握力と体重が独立予測変数として検出され, いずれも年齢は予測変数ではなかった. したがって, 吸気・呼気筋力は加齢にともなって男女ともに低下するが, 年齢や体格そのものが決定要因ではなく, 握力に示されるような骨格筋力の低下などのいくつかの要因を含む加齢性変化によって生じている可能性が示唆された.
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