ナタネ圃場内で毎年大発生をくりかえす
アブラムシ
類につき, これらの
アブラムシ
類個体数変動に大きく関与していると考えられる食〓性昆虫およびクモ類の群集構成ならびに群集の時期的変遷について調査を行ない, さらにこれらの捕食虫の捕食能力を推定し,
アブラムシ
類の発生消長との関係を調査した.
ナタネ圃場内に発生する
アブラムシ類は大部分ダイコンアブラムシ
で,モモアカ
アブラムシとニセダイコンアブラムシ
が極めてLow populationで存在しており, これらの
アブラムシ
類個体数は5月10日の調査で最高に達していた.
アブラムシ
類群集中に構成される捕食虫は11種の構成種からなり, 種類数ではヒラタアブ類が最も多く, 個体数ではナナホシテントウ幼虫が最も多い. 時期的には,
アブラムシ
類の個体数が最高に達した後, 捕食相構成種の総個体数が最高に達し, その後捕食相の構成種が最も多くなる. またこれらの群集形態は
アブラムシ類個体数の増大を示していて発生おう盛なアブラムシ
群集中に構成されている捕食虫群集は単純形態を示し, 衰弱してゆく
アブラムシ
群集中に構成されている捕食虫群集は, 前者に比し複雑な形態を示すことが元村の等比級数の法則(1932)によつて明らかにされた. そしてこれらが
アブラムシ
類の発生消長など時期の経過にしたがつて, 漸次単純形態から複雑な形態へと移行するようである.
さらに小林(1961)の水田におけるクモ類のウンカ・ヨコバイ類捕食能力推定式によって, 種々の環境条件の働き合つているナタネ圃揚での捕食虫による捕食能力を推定した結果全捕食能力は, 捕食虫個体数の最も多い5月15日に最高に達し, テントウムシ類はヒラタアブ類の約6倍の捕食能力を有し, なかでもナナホシテントウ成・幼虫が最も多く, ナタネ圃揚内ではこれらの有益性は極めて高いことが推測された. また捕食虫群集と
アブラムシ
類の発生消長とは極めて密接な関係を示し,
アブラムシ
類発生消長の比較的後期において, 捕食虫による捕食能力が
アブラムシ
類の個体数より大になることが見受けられた.
抄録全体を表示