X線回折および体膨張法を用いて, トランス-ポリイソプレンの処理条件とそれによって生じる結晶形との関係および0℃における比容積と結晶形との関係を調べた.
それによると, 前者には, 次のような2つの関係が存在することが明らかである.すなわち, あるトランスポリイソプレンは, 徐冷することにより, β型の結晶形を生じ, 他のものは, 同じ処理条件のもとで, γ形へ結晶化する.これらの原因は, ポリマーの中に含まれる不純物によるものと考えられるが, 不純物の形として, ポリマー自身のもつ構造上の不純と, ポリマー以外の物質とが考えられ, それらが, 冷却速度に干渉して, 異なる結晶形が生じると推定される.
後者については, 3つの関係が存在することが, 明らかである.すなわち, βおよびγ形が同じ比容積を示す場合, 2つの結晶形が異なる比容積を示す場合, および同じ結晶形が異なる比容積を示す場合である.
トランス-ポリイソプレンが, 結晶形に関して, これらの複雑な関係を示すのは, 現在なお疑問を残している2つの結晶形の間に横たわる関係が, 複雑であることを暗示するものである.
抄録全体を表示