本発表の目的は、長野県諏訪市で7年に一度の大祭と言われる「御柱祭」から
エクストリームスポーツ
の要素を見出し、伝統スポーツを
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と捉える現象(New Traditional Sports)の分析を試みることである。
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とは、サーフィン、スケートボード、ロッククライミング、スカイダイビングなど、危険を伴うアグレッシブな身体活動として、特に若者文化と共に発展してきた背景を持つスポーツを指す。若者を中心に支持を受けてきた
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であるが、近年は古くから各地域の文化内で継承されてきた伝統スポーツを
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と捉える現象が確認できる。それは、もともと伝統スポーツに内在していた「極限性」を
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と同様のものと認識しているためと思われる。
そういった伝統スポーツの極限性に注目する動きは、大手エナジードリンク会社であり、
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のスポンサー活動を積極的に行う、レッドブルのオンライン動画サイト「Red Bull TV」においても見ることができる。その中の「Archaic Festivals」というトピックには、世界各国の過激な要素を含む伝統スポーツの様子がドキュメンタリー方式で詳細に取り上げられており、御柱祭もその一つとして紹介されている。事実、「敢えて危険へ挑む」、「危険へ立ち向かう評価」、「度胸試し」といった要素は、伝統スポーツと
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の接点、「極限性」として捉えることができる。
本研究では、御柱祭をRed Bull TVの映像資料、現地での聞き取り調査結果から、
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と捉えられる背景を整理する。そして、そこから極限性の諸要素を顕在化させ、それら要素の細分化及び考察を目的とする。
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