聴覚障害児の聴能を評価するための実際的な方法を開発する目的で, 数唱及び親族呼称で構成された2種類の簡易な単語聴取検査法を考案した。 数唱聴能検査を聴覚障害児76名に実施した結果, 平均聴力レベル90dB以下の聴覚障害児は, 音韻のスペクトル情報の識別が可能な分節的な聴能が期待でき, 一方, 平均聴力レベル113dB以上の重度な聴覚障害児は音声の音響的リズムパターンの韻律的特徴を弁別する超分節的な聴能のレベルにとどまる傾向がみられた。 しかし, それらの中間の平均聴力レベル (90-110dB) の聴覚障害児の聴能の水準は広範に分散することが明らかになった。 また, 親族呼称了解度検査を聴覚障害児381名に実施した結果, 韻律的情報と音韻のスペクトル情報の特徴を組み合わせた検査語の異聴傾向に着目することにより, 聴覚障害児の聴能を評価する実際的な観点が得られた。 特に同口形異音情報の特徴をもつ/オジイサン//オニイサン//
オジサン
/の語群内での異聴傾向を拠り所に, 子音の聴覚的識別のレベルが評価できた。
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