本論文は,印象派を代表する有名画家の色彩表現に着目し,色特徴を解析する手法を提案する.提案手法では,美術館で実物の絵画を色較正済みのカメラを用いて,直接撮影したデータを利用している.そこで,各画家における絵画の測色撮影から色特徴抽出に至る一連の解析方法を整理して包括的に述べる.はじめに,美術館でデジタルカメラを用いて絵画を撮影し,絵画の測色データを獲得する方法を述べる.このとき,一般に美術館によって照明環境が異なる.そこで,照明環境に依存しない標準絵画データベースを作成するために,撮影画像の基準化を行う.次に,画像サイズを均一化して画家ごとの作品の集合を作り,全絵画の画素を均等色空間にプロットした解析法を提案することによって,各画家が用いた絵具の全体的な特徴が,色分布全体の主成分分析によって得られることを示す.さらに,各画家の作品ごとに詳細な分析を行うために,明度・彩度・色相の三属性を使用し,各属性を画素数で均等に分割して解析する手法を提案することによって,分割点と分割間隔が色特徴抽出に有効であることを示す.
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