【目的】米の消費量が年々減少している中,米の消費拡大に向け米粉の普及が図られている。近年,米粉は小麦粉の代替としての利用が進み,パンや菓子,麺など,様々な加工品が製造されている。しかし,米粉の麺への利用は,パンや菓子に比べ少ない。我々は米粉の麺への利用拡大を目指し,米粉の特性を活かしたうどんの開発に取り組んでいる。米粉は色が白く,くせのない風味であるため,他食材を添加した際に食材の色や風味を引き立て,綺麗な色,良い風味のうどんができると考えた。本研究では,色や香りに特徴のある食材として,ほうじ茶パウダーおよびいちごパウダーを選定し,米粉うどんの品質に及ぼす食品粉末添加の影響を検討した。
【方法】米粉うどんは,ほうじ茶パウダーまたはいちごパウダーを5%,10%添加した米粉,片栗粉,増粘多糖類としてアルギン酸エステル(
キミカ
),CMC(日本製紙)を使用して作製した。各生地のpHをpHメーターで測定した。米粉および2種のパウダーの水分含量は常圧加熱乾燥法により求めた。茹で時の麺の切れやすさを測定するため,生麺の長さを20cmに切断し,茹で後の麺の長さと切れた本数を計測した。また,茹でうどんについて破断測定を行った。
【結果】米粉にほうじ茶パウダーを添加した場合,茹で作業により,ほうじ茶パウダー5%の添加で約1/3の麺が切れ,10%添加では約1/2の麺が切れた。一方,米粉にいちごパウダーを添加した場合,5%添加で約1/4の麺が切れたが,10%添加ではほとんど切れなかった。各種茹でうどんの物性は,コントロールの米粉うどん,ほうじ茶パウダー10%添加うどん,いちごパウダー10%添加うどんの順で有意に破断応力が高かった。
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