女子学生の通学時の, 着衣の実態を季節別に調査し, 着用している服種の快適性について, 総合評価を含め9項目について4段階評価をさせた結果は, 次のように要約される.
4-1着衣の実態
上衣・下衣の組合せによる着用枚数は, 春・秋は上衣3枚・下衣3枚と上衣3枚・下衣2枚が多く, 夏は上衣2枚・下衣2枚, 冬は上衣4枚・下衣3枚が多い.
服種別着用率は, 四季を通して着用率の高い服種は, ブラジャー, ショーツを除くと, 上衣ではTシャツとブラウス・シャツである.特にTシャツは, 夏は33.5%, 冬は62.3%と高い.下衣は, 四季を通してストッキング・タイツが30%以上, ジーンズパンツ・パンツは43%以上である.スカートは夏が低くて21.2%, 秋が高く40%である.服種別着用順位は, 上衣ではTシャツは2枚目, ブラウス・シャツ, セーターは3枚目が多いが, Tシャツは春・秋・冬は1枚目から4枚目と, 下着, 中着, 外着として多様な着方をしている.下衣は, スカート, 短パン類は3枚目, パンツ類は2枚目の着用が多い.
着方の組合せ数は, 冬206通り, 春180通り, 秋167通り, 夏78通りである.この組合せの中で10人以上が同じ組合せで着用しているのは, 夏は8通り, 61.5%でその出現率は最も高く, 春は4通り, 13.9%と低く, 他の季節に比べて, 多様な着方をしていることがわかる.
4-2快適性の評価
評価項目別の平均得点は, 「手入れのしやすさ」と「動きやすさ」については, 他の項目に比して服種により差がみられた.すなわち, セーター類, ジャケット類, コート類, スカートなど, 家庭洗濯が難しい服種の評価が低く, 評価のばらつきも大きい.しかし, 「色・柄」については, いずれの服種も3.5以上の高い評価を示した.服種別では, 直接肌につけるショーツ, ブラジャーは, いずれの評価項目も3.5以上で満足度が高い.
服種別総合評価は, いずれの季節も「快」と「やや快」の間にあり, おおむね満足度は高い.四季による評価の差は, 危険率1%で肌シャツ類, Tシャツ類, パンツ類に, 危険率5%でスカート, 短パン類に有意差が認められ, 春, 秋, 冬の評価が低い.
以上, 下着類は, 実用的快適性, 美的・心理的快適性の両者に, 上着類は, 美的・心理的快適性に満足度が高く, 用語すなわち, イメージとしてとらえている快適感と, ほぼ同じ傾向を示した.
しかし, 実用的快適性の一つである「手入れのしやすさ」の難易は, 実際に着用している衣服の快適感に及ぼす影響が大きいことがわかった.
本調査にご協力いただいた学生諸姉に感謝します.
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