それぞれがノーベル賞の対象となったGプロテイン, サイクリックAMP, プロテ
インカ
イネースAという細胞内シグナル情報伝達メインストリームの遺伝子発現における最終的なゴールが転写因子CREB (サイクリックAMPレスポンスエレメント結合タンパク) だった. CREB研究はさらに, 世界で初めての転写因子のリン酸化による遺伝子発現機構の証明, そのシグナル依存的なコアクテイベーターの発見と, いよいよ全貌が明らかとなってきた基本転写因子と外界からのシグナルの接合調節メカニズムの解明においても常に分子生物学をリードしてきた.
我々はCREB研究を通し, クロマテインを加味した新しい遺伝子発現機構を解明し, さらには遺伝子治療, 再生医療への応用において, 最先端の分子生物学と臨床医学をまっすぐに結ぶストラテジーとなりうることを示してきた. 丁度, 打腱器のようにCREBをツールとして使い, その生体内情報系を震わせてやることで, CREB周辺の組織特異的なモレキュラーメカニズムが次々と明らかになってきている.
ポストゲノム時代の溢れかえる分子情報のノイズの波に押し流されないためのアンカーとして, そしてサイエンスにおける次のパラダイムの扉をあける鍵として, 古くて新しいCREBそしてクロマテイン研究を, 私たちの研究を中心に紹介したい.
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