【初めに】
三重県内の呼吸不全への対応の改善を目的に我々は2000年より三重県呼吸リハ研究会、2001年より三重グリーンタウングループ(現グリーンタウングループ呼吸嚥下研究会)を立ち上げ地域へのアプローチをおこなっている。
2003年からは系統立てた県内への啓発を目的に三重県内アンケート調査を行い、現状の認知・指導方向性の決定を行い、これに基づき呼吸リハ立ち上げ可能な人材教育目的の宿泊実技講習会を開始し、さらに県内各地区の
コアスタッフ
育成のための勉強会を開始し継続した指導を行い地域全体での呼吸不全への環境改善を目指してきた。
【目的】
MRE(Respiratory Rehabilitation Evaluation List in Mie 三重県共通呼吸リハ評価マニュアル)を導入した経過を報告する。
【内容】
第1版は計40ページ以下の8項目より成り立つ。
1,身体測定2,呼吸機能 3,運動耐容能 4,息切れ評価5,不安抑うつ指標 6,ADL評価表7,QOL評価 8,評価期間について
【MREの特徴】
BODEindexに基づいた評価を行うことを可能とし、県内施設の実情を踏まえ6MDは楕円コースでパルスオキシメーターを使用とした。MRCスケールは日本版を使用し、うつの前段階としての不安評価が行えるHADスケールを採用した。酸素吸入を加味した評価可能なNRADLを採用し、短時間に呼吸不全全般に評価可能なSF-8を採用した。EBMに基づいた指導のため明確な論拠を記載し、2単位(40分)以内で評価化能
【MRE導入の目的】
1.容易な効果判定、適切評価による指導推進
2.評価表マニュアル使用にて呼吸リハ施行に必要な基本的知識を獲得する。
3多施設の症例を統合した結果を示し、少数症例施設においても呼吸リハ効果を認識可能にする。
4.多施設の現状を知り指導必要症例が多いことを実感する。
5. 施設間知識の共用・共通理解を得る。
6. 呼吸不全患者指導の動向把握に基づき、地域呼吸リハ指導啓発内容方針を決定する。
7.マニュアル制作手順による
コアスタッフ
の育成。
【結果】
平成19年4月20日より試用開始し、現在6総合病院で使用中であり、43症例延べ101件の評価対象を得ている。短期集中講習会(年1回)を施行、指導内容、評価方法に関しては各地区勉強会(隔月1回5地区)において随時指導を行っている。 ホームページ上で申し込み登録することによりマニュアルを開示、評価結果を一括管理している。 継続した改正と報告を行い情報の共有をすすめている。
【考察】
今後、呼吸リハ指導内容の多施設間施設評価や疾患別効果の評価を行い、適正指導を目指す。地域全体のより質の高い呼吸ケア・リハビリテーションの提供へとつなげ、地域全体での呼吸不全への環境改善を期待したい。
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