オーチャードグラス草地を4年間にわたって休牧し,永年草地土壌の生物相ならびに無機環境に及ぼす休牧の影響について検討した。試験区は休牧開始時に石灰を施用して休牧した区(石灰休牧区),無施用で休牧した区(無施用休牧区),従来どおり輪換放牧利用した区を対照区とした。本報では大形ミミズ類と
コガネムシ科
の幼虫の個体数ならびにミミズの糞土量について検討し,次の結果を得た。1.両休牧区の大形ミミズ類(サクラミミズAllolobophora japonica,フトミミズ属Pheretima sp.)の個体数は,対照区より著しく増加した。ことに石灰休牧区は,フトミミズ属の増加が著しかった。2.対照区の大形ミミズ類の垂直分布は,5cm以上の土層に集中したのに対し,両休牧区では5cm以下にも多く分布した。3.休牧初年目に地表に堆積したミミズの糞土量は,石灰休牧区で最も多く1227DMg/m^2,次いで無施用休牧区で214DMg/m^2,対照区で20DMg/m^2であった。4.両休牧区の
コガネムシ科
(Scarabaeidae)の幼虫の個体数は,対照区より著しく減少した。以上の結果から,永年草地を休牧すると大形ミミズ類が増加し,
コガネムシ科
の幼虫が減少することが明らかになった。
抄録全体を表示