1975年夏,訪中調査団が陜西省西安市郊外で採集した69個のクリタマバチゴールから,翌年4月上旬に寄生蜂
Torymus (Syntomaspis) sp. 7個体(4♀♀3♂♂)が羽化した。これらのゴールを解体した結果,
Megastigmus sp. 2♀♀,
Ormyrus sp. 2♂♂,
Eurytoma brunniventris 1♂,
Eudecatoma sp. 3♀♀と不明種5個体の寄生蜂死ごもり個体が検出された。これらの結果から,サンプルを採集した中国のクリ園での寄生蜂の寄生率は,60∼80%の範囲内にあると推定された。
羽化した中国産寄生蜂
Torymus (Syntomaspis) sp.のうち,3♀♀2♂♂を用いて予備的放飼試験を行なった結果,これらは雌当たり10.3個体の次世代を残し,本種が日本で定着可能であることが示唆された。本種は一化性で,寄主とよくシンクロナイズした生活環を示す種特異的な寄生蜂であり,今回明らかになった範囲の中国産天敵の中で,導入する価値のある唯一の種であると結論された。
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