包装されている繊維製品が保管中に黄変する現象が多く発生した.その原因は包装材中の酸化防止剤の2,6-ジ-
t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)が大気中の窒素酸化物(NO
x)により酸化され,黄変物質が生成することによるとされている.この現象を検証するため,黄変した繊維製品中の黄変物質を,HPLC及びGC/MSにより分析する方法を検討した.黄変物質を検出するため,塩基性移動相を用いたHPLC及びキャピラリーカラムを用いたGC/MSにより,黄変繊維製品を分析したところ,3種の黄変物質が検出されたが,BHTのNO
x酸化で生成すると考えられている3,3',5,5'-テトラ-
t-ブチル-4,4'-スチルベンキノン(TBSQ)は検出されなかった.又,ナイロン製品からは,未知黄色物質が検出された.よって,黄変現象の解明に新たな考察が必要であることが示された.従って,本法は,繊維製品の黄変原因の究明に広く利用できると考えられる.
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