主催: 日本毒性学会
会議名: 第47回日本毒性学会学術年会
開催日: 2020 -
検出器として質量分析計などの高感度検出器を用いた測定では、目的成分を安定に検出するために、試料の脱塩や濃縮など前処理が非常に重要とされている。さらに、サンプルは低濃度、微少容量であり、使用する試料量を少なくすることは、対象生物に対しての負担を軽減することにもつながる。
血清や血漿、尿など、生体試料中の薬物の微量成分を分析する際、前処理として粒子充填剤カラムによる固相抽出が広く用いられている。しかしながら、生体試料はタンパク質や塩などの夾雑成分を多く含む。微量サンプルを対象とした固相抽出法を用いた精製や濃縮操作は、通液性の調整や、使用サンプル量よりも多量の洗浄液、溶出液を使用する点、濃縮乾固を必要とする点を考慮しても非常に煩雑な操作になる。このような問題を解決するために、操作を簡素化し、微量サンプルを短時間に再現性よく処理可能な前処理法が求められている。
これまで著者らは、分離材としてモノリス型シリカゲルを用い、迅速に処理が可能な新しい前処理カラムの開発を行なってきた。シリカモノリスは分離剤そのものをディスク型もしくはロッド型に調整することが可能なシリカゲルであり、特に微量容量の固相抽出用カラムを作製するのに適した媒体として注目されている。本発表では、シリカモノリスを用いたチップ型および、スピンカラム型の固相カラムを用いた微量サンプルの前処理法の紹介を行う。