1967~1968年に長野県埴科郡坂城町の千曲川において,
セグロセキレイ
Motacilla grandis SHARPEの繁殖生活に関する調査を行なった。
1.調査地では,3月下旬から7月頃にかけ繁殖が行われ,家族群崩壊までに約2.5ヶ月要する。
2.巣造り場所は地上に多く,巣造りは主として雌が行なう。
3.ディスプレイ,交尾は産卵間近に多く,交尾は,雌の誘発で行なわれる。
4.産卵は毎日1卵で,卵数は4~6個である。
5.抱卵は雌雄交代で行ない,期が進むにつれ雌は徐々に増加し,雄は滅少する。
6.抱雛は雌のみが行ない,雛の成長にともないしだいに減少し,育雛後期には全く行なわれなくなる。
7.給餌は,抱雛期には雄,非抱雛期には雌が多い。全体的にはやや雄が多い。
8.雛の糞は親によって処理されるが,育雛前期には呑み込む習性がある。
9.巣立ち後家族生活を行ない,25日間なわばり附近にとどまった。
10.繁殖に関する仕事の雌雄行動率は次のようである。抱卵雌72.1%,雄27.9,給餌雌46.2%,雄53.8,巣造り(個体差あり),抱雛雌100%
11.番は200mに1番の割で分布し,行動圏は隣接個体と重複し,約5haである。
12.天敵としてハシボソガラスの被害は非常に大きい。
13.8巣の平均卵数は5.25個,孵化率47.1%,孵化数に対する巣立ち率は52.6%,産卵数に対する巣立ち率は23.8%である。
14.囀り範囲は争い範囲に大部分含まれる。
15.雄は巣周辺と水辺で主に活動し,巣造り抱卵期には巣を中心に水辺へ向って放射状に移動し,産卵期には活動が活発であった。
16.雄の行動の割合は,採食歩行43.1%,警戒休息30.3,囀り7.2%,争い6.4%,羽づくろい13.0%である。
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