国有林が日本林業全体を牽引した1910年代から1960年代までの約半世紀を対象として,近現代日本の森林管理において
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とは何であったかを考察することを研究目的とする。方法論としては,林政学,林業経済学の研究蓄積を踏まえ,行政史学,政治史学の技術官僚史論,および歴史社会学のライフコース分析の応用を試みた。その結果,林業技術者運動や林力増強計画といった歴史的出来事に,4世代の森林
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が遭遇した際にとった行動の分析などを通して,国家や市場の暴力性を前にした,森林
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のナイーブさが浮き彫りとなった。森林
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による森林管理のあり方を考究する一方,その実証研究を一層進める必要がある。
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