Wistar系ラットおよびBeagle犬にDKBを1日1回, ラットは1群10匹で182日間, Beagle犬は1群2頭で91日間 (いずれも日曜日は休薬) にわたつて筋肉内投与し, その慢性毒性を検討した。
(1) ラット
1) ラットの雄の200mg/kg投与群では全例, 雌100mg/kg投与群では1例, 150mg/kg投与群では6例が死亡した。
2) 雄, 雌とも投与後, 薬剤投与に相関して自発運動が減退, 呼吸数が減少, 歩行は失調性となり, 匍匐した。雄の200mg/kg投与群では, 165日目以降, 発現例数の減少, 持続時間の短縮をみとめ, 雌の高投与群では泡沫状水様液の吐出, 投与部位の硬結, 脱毛をみとめた。
3) 平均体重は, 雄200mg/kg, 雌50および150mg/kg投与群では, 対照群を下まわつた。摂餌量は雄の200mg/kg投与群では57日目以降, 対照群を下まわる傾向を示した。
4) 血液, 尿試験において, BUN, K, Hct, RBC, Hgb, GPTなどの変動から肝, 腎機能にたいする影響および貧血傾向が, うかがわれた。
5) 病理組織学的には, 50mg/kg以上の投与群に明らかな腎障害がみられ, 高投与群の肝に長期間投与による軽微な影響がみとめられた。
(2) 犬
1) 25mg/kg投与群で39日目に1例, 50mg/kg投与群で22および24日目に各1例 (計2例) が, それぞれ死亡した。これらの動物は, 軽度の自発運動の減退と, 黄色水様液の吐出, 歩行困難を示し, 致死した。
2) 平均体重は, 25mg/kgおよび50mg/kg投与群の死亡例が死亡時において, 投与前より1.5~4.5kg減少したほかは, 対照群と大差なく推移した。
3) 摂餌量については, 25mg/kgおよび50mg/kg投与群の死亡例が断続的に減退し, ついで2~4日間全廃した以外は, 対照群と有意差はなかつた。
4) 血液, 尿試験でのGOT, GPT, TP, Chol, Glu, BUN, UAなどの変動から肝, 腎機能に対する影響が推察された。
5) 病理組織学的には, 腎障害が投与量と相関して漸増的に観察され, 肝についても軽度の影響がみられたが, その他の臓器に著変はなかつた。
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