宮崎県栽培漁業センターの施設を使用して昭和60年, 昭和61年の2ケ年にわたりオオ
ニベ
のホルモン催熟による採卵試験を実施し, 次の結果を得た。
1) 供試魚は, 昭和60年は8年魚4尾 (平均体重11.1
kg) で, 昭和61年は昭和60年使用親魚に加えて, 4, 5年魚15尾 (平均体重4.2
kg) を使用した。
2) 排卵刺激としては, 昭和60年試験はホルモン処理 (1回目: ゴナトロピン6000IU/尾, 2回目: ♂ゴナトロピン7500IU/尾, ♀プベローゲン7500IU/尾) だけにより, 昭和61年試験はホルモン処理 (1回目: プベローゲン6000IU/7~13
kg BW, 3000IU/4~6
kg BW, 2回目: プベローゲン3000IU/尾) と温度刺激 (18~20℃に昇温, 維持) の併用であった。
3) 産卵は, 昭和60年試験では2回目 (昭和60年3月25日) の排卵刺激により見られ, 3月27日に118.6万粒 (浮上卵77.6万粒, 沈下卵41万粒) を採卵した。翌3月28日には109.6万粒 (浮上卵13.1万粒) , 29日には13万粒 (浮上卵1.7万粒) , 30日には3.3万粒 (浮上卵0) を採卵した。昭和61年試験では, 1回目 (昭和61年2月28日) の排卵刺激により3月2日に1163.1万粒 (浮上卵128.8万粒) を採卵した。この後3月23日までに温度刺激により10回の産卵が認められ, 合計1294万粒 (浮上卵202.0万粒) を採卵した。2回目 (3月24日) の産卵刺激により3月26日に132.2万粒 (浮上卵104.8万粒) , 4月4日に35.6万粒 (浮上卵30.2万粒) を採卵した。
4) 熊野江港において親魚を自然水温で飼育した場合, ホルモン処理の適期は3月下旬以降であると推測された。
5) オオ
ニベ
の産卵適水温は18℃以上であることが推測された。
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