バイオマス
は再生可能エネルギーとして期待されているが,その利活用は一般的に事業性(経済性)に欠けるためになかなか広がらず,一方で現有の事業にはその実効性に疑問が提示されている。そこで,代表的
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として,生ごみ,家畜排せつ物,木質
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の3 種を選び,利活用の現状と課題を整理し,事業性(経済性)と実効性の評価式を提示し,評価の考え方を述べた。さらに,湿潤
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にはメタン発酵を,乾燥
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については直接燃焼・ガス化,固体燃料化を利活用(転換)技術として選び,その事業化にあたっての技術的課題を整理し,自治体と民間企業それぞれについて事業性(経済性)の評価を行った。現状で,
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の利活用に取り組み,継続的事業として成功している事例は,自治体の生ごみや,ビール工場や食品工場の廃棄物系湿潤
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を対象としたメタン発酵であり,木質
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では製材工場の廃材や建設廃材等を利用した直接燃焼による熱利用,発電である。これらは,いずれも廃棄物系
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の利活用であり,現在の廃棄物処理システムの中に位置づけられるため,従来の処理費用に比べて経済性があり,加えて環境改善,CO2 削減等の間接的効果を評価できるとして,継続的事業として成功している。また,未利用の
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の利活用の推進には,政策誘導等により,間接的効果の価値を付加した経済システムの構築が必要である。一方,
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利活用の取り組みには,成功事例とともに失敗事例があることから,成功と失敗の要因を抽出し整理した結果,失敗事例には技術の選択のミスと過剰設備の問題があり,
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の発生量と性状に適したできるだけシンプルな技術を選定することが重要であることを示した。
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