抄録
首都近郊里山林をモデルに,間伐材による小規模バイオマス発電事業の可能性を検証した。 まず,小規模バイオマス発電のモデル収支を計算し,事業が可能となる燃料チップの数量と単価の目標を設定した。次に研究対象地において,航空写真判定による森林資源量の把握および生産可能な木質チップのボリュームを試算した。さらに,木質チップの調達コストの計算を行い,発電事業の可能性や課題,今後の展開を検討した。森林資源調査の結果,針葉樹林や草地の広葉樹林化の進行が認められた。現状では小規模バイオマス発電事業の収益性は低いが,木質チップの生産方法の改善や地域連携による規模拡大,余剰熱利用などにより,事業化の検討が可能であると確認された。