緑内障, 非感染性全眼球炎, 外傷に罹患した犬42症例46眼に対し, 眼球内容を摘出した後にシリコン義眼の強膜内挿入術を施した. 46眼中45眼 (97.8%) で比較的安定した経過を得た. しかし, 1眼 (2.2%) では術後に角膜穿孔が発生したため, シリコン義眼を除去した. 犬種別での強膜内シリコン義眼挿入は多い順にシー・ズー (13眼), 柴 (7眼), アメリカン・コッカー・ス
パニエ
ル (6眼) の順であった. 使用したシリコン義眼の最頻値はシー・ズー18mm, アメリカン・コッカー・ス
パニエ
ル16mm, 柴16mmであった.術後の問診で眼球摘出よりも強膜内シリコン義眼挿入術の結果に美容上満足していると答えたのは, 手術が成功した41例の飼い主全員であった. 以上のことから, 強膜内シリコン義眼挿入術はその適応症を的確に判断して応用することにより, 投薬の煩わしさから解放され, 美容上の観点からも価値が高いと考察された.
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