イギリスの学校に科学教育が導入され始めたのは150年前に過ぎない。当初から今日と変わらぬ論争があったことは興味深い。第2次大戦後教育改革が行われ,その後も学校制度は変遷する。科学教育の変革が始まるのは50年代である。60年代にナフィールド科学が登場し,続いて統合科学や『科学と社会』などが現れ,さらに各地で教員主導のカリキュラム開発が進むが,80年代にナショナル・カリキュラムが導入され様相は一変する。ナショナル・カリキュラムの導入過程について述べたのち,ナショナル・カリキュラムの構造,その評価・試験方法,キー・ステージ3・4(日本の中学〜高1段階に相当)の科学のカリキュラムの到達目標などについて説明し,Aレベル制度(日本の高2・高3に相当)の改革の歴史と,16歳以降の学校教育に関する現在進行中の改革の要点について紹介する。
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