熱硬化性バイオプラスチックの
プレポリマー
(糖類とポリイソシアネートの混合物)は,石油系の熱硬化性プラスチックであるフェノール樹脂の代替品としての期待が高い。工業プロセスにおいては,
プレポリマー
の熱硬化特性を把握することが重要である。本研究では,
プレポリマー
の熱硬化プロセスにおいて, 糖類の吸着水や結晶水の存在とその結晶構造変化がどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的とした。さらに, 工業的製造プロセスにおいて等温加熱による加工が行われていることから,
プレポリマー
特有の等温硬化特性を求める方法を検討した。熱硬化プロセスは,糖類の結晶崩壊あるいは融解によりプロセスが進行し, ウレタン基の生成により硬化が進行すると考えられた。糖分子中の水によって融点が変化することから,
プレポリマー
の熱硬化特性に大きく影響すると考えられた。特に, 加湿グルコース中の水分には, 硬化温度を高温側ヘシフトさせる効果がみられた。次に, 反応速度モデルを用いて
プレポリマー
の等温硬化特性を求める方法を検討した。グルコースと変性MDIからなる
プレポリマー
の等温硬化特性を求める手法として, Kamalモデルの適用が有効であった。これにより,工業的なバイオプラスチック
プレポリマー
の熱硬化プロセスの設計・管理が可能になると考えられる。
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