西アフリカ・ガーナ共和国原産5匹の
ボールニシキヘビ
が1993年4月に輸入され,旭山動物園に展示された。同年7月5日にダニ寄生を認め,その形態学的特徴からAponomma latum と同定した。その後,同年12月26日に再度未吸血と飽血した完全な2個体の寄生が発見されたので石膏加小型プラスチック容器に入れ32℃ 下で飼育した。未吸血個体には変化は認められなかったが,飽血雌ダニは12日目から産卵を開始し,産卵初日から28日目に幼虫艀化が始まった。この2個体の雌ダニを無菌的に解剖し中腸をBSK培地で培養したところ未吸血個体から運動性を持つスピロヘータ様細菌が分離された。Borrelia burgdorfferi(平均20μm)に比べると菌体は大きく,増殖は悪い。また,ギムザ液やグラム染色への反応は弱い。原産地では本種ダニのヘビや爬虫類への寄生は稀ではないが,日本へ輸入されたヘビに寄生したダニの種名が判明したことは初めてである。また,本ダニからの細菌分離は世界で初めての事で新種の可能性がある
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