多くの地球環境問題が表出する中で,
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は健全な財務状態を維持しつつ,環境に配慮した経営をしなければならなくなってきた。環境マネジメントと経済パフォーマンスとの関係に関する研究では,
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規模との関係が多く取り上げられている。
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規模を表わす指標としては,売上高と従業員数のいずれかが用いられることが多い。しかし,売上高と従業員数は完全な比例関係にはなく,いずれを
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規模指標として用いるべきかについては議論が必要である。そこで,本研究では
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規模として用いられることが多い売上高と従業員数の2変数が日経環境経営度調査と債務信用格付けに与える影響をパス解析することで,両変数のいずれが
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規模を適切に評価可能であるかについて検討を行った。その結果,売上高と従業員数のいずれか一方のみを
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規模指標として用いた場合,不具合,不揃いが生じることがわかった。そこで,売上高と従業員数を標準化した指標「売従標準和」を新たな
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規模指標として提案し,それを用いた分析の結果,売従標準和
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規模は,売上高または従業員数をそのまま用いる場合よりモデルの適合性がよくなり,有効な
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規模を表わす指標として組成できることがわかった。本研究により,環境マネジメントや経済パフォーマンスの指標を含め他の様々な指標等に対して
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規模からの影響を考慮・探求したい研究においても,新たな
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規模指標が有効である可能性が示唆される。
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