種子発芽時における耐塩性種の選抜の可能性を模索するために, キク科の栽培花き植物18種20品種およびキク科の塩生植物ウラギク(Aster tripolium L.)を用いて, NaClストレス下での種子発芽および初期栄養生長を調査した.50∿300 mMのNaCl下での発芽試験に基づいたクラスター分析から, ベニバナが発芽時の耐塩性が最も高いと評価した.ウラギクはNaClストレスによって発芽が抑制されたが, 300 mMの高塩環境下ではベニバナに次ぐ高い発芽性を有した.ベニバナ, ウラギクおよび発芽時の耐塩性が比較的低かったクリサンセマム・パルドーサムをNaCl水耕した時の初期栄養生長期の耐塩性は, ウラギク, パルドーサム, ベニバナの順に高く, パルドーサムおよびベニバナでは茎葉に比べて根の生長が有意に抑制された.以上のように, ベニバナ, パルドーサムおよびウラギクの間で比べた耐塩性の程度は, 種子発芽時と初期栄養生長期とでは異なったので, 種子発芽時の耐塩性によってキク科花き植物の耐塩性種を選抜できる可能性は低いと考えられた.
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