重包装袋用紙の強度物性値のばらつきが落下破袋強度に及ぼす影響について検討した。
本報では対応する強度物性値として紙のタフネスをとりあげ, その分布が正規分布であることを仮定し, かつ落下試験で落下時に内容物が紙袋の各部に作用する破壊のエネルギー分布
f (E) が1/
be-E/bの形と仮定して, 垂直, 反転及び水平落下について検討した。
その結果, 紙のタフネスの値について, 平均値のみの場合よりも, そのばらつきを考慮に入れた場合は, 破袋強度との相関度は若干向上することが認められたがその影響は比較的に少なかった。
これは落下試験では, 各落下ごとの落下状況のばらつき, 湿度変化等の環境条件のばらつき, あるいは製袋上のばらつき等があり, 用紙のタフネス値のばらつきがかなり大きい場合でないと, その影響が現われ難いためと判断した。
上記の
bの値は, 各落下時の平均の破壊エネルギーに相当する値を表わすと考えられるが, 垂直, 反転及び水平落下で, それぞれ1.01, 0.74及び0.51と得られ, 紙袋にとって垂直落下がが最も苛酷であり, 水平落下が落下条件として緩やかであることを示した。
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