Pirarubicin (THP) を含む化学療法を施行した非ホジキンリンパ腫患者に対し, 心プールシンチグラフィー,
123I-metaiodobenzylguanidine (MIBG) 心筋 single photon emission computed tomography (SPECT),
123I-beta-metyl iodophenyl pentadecanoic acid (BMIPP) 心筋SPECT, ホルター心電図を施行し, THPの心毒性の早期検出を行った. 対象はTHP-COPBLM療法を施行した未治療非ホジキンリンパ腫26例である. THP-COPBLM療法でTHPは40mg/m
2を21日毎に投与した. THPの総投与量は平均240mg/m
2 (40~400mg/m
2) であった. 1) MIBGより得られた washout rate (WR) はTHP総投与量と相関を認め, 心交感神経障害の指標となると考えられた. 2) 左室駆出率 (LVEF) は, THP総投与量と負の相関を認め, 360mg/m
2で4例中2例に60%以下に低下した症例を認めた. 3) THP総投与量はBMIPPより得られた extent score, severity score と正の相関を認めた. 4) WRは, 心室性期外収縮の頻度と正の相関を認めた.
THPは動物実験では doxorubicin (DXR) に比し心毒性が少ないと思われているが, 今回の高齢者の検討ではTHP総投与量約360mg/m
2で心毒性が出現する. よって, DXRと同様に左心機能の低下が認められるような重篤な心筋障害が起こらないうちに早期検出することが大切であると考えられた.
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