森林教育を行う上で、生徒が森林の諸科学の知識を用いて解決する学習活動を展開するためには、生徒の森林の研究内容に関する興味・関心を知ることが重要といえる。そこで、S県A市の中学3年生129名に対して、森林研究に関する興味・関心について、内閣府が2011年12月に実施した森林と生活に関する世論調査の項目のうち、森林への親しみ、森林に期待する働き、森林ボランティア活動への参加意欲、森林に行く目的の4つを調査した。あわせて、第129回日本森林学会大会の14部門の研究内容を示す文章を提示して、興味・関心のある研究内容を3つまで選択させた。調査の結果、中学生が森林に求める機能については地球温暖化防止が最も多く、防災に関する回答が少なかったこと、森林ボランティアの活動が「わからない」と答えた生徒が2割弱みられたことから、中学校での学習内容や都市住民としての森林との関わり方が影響していると考えられた。中学生が興味・関心を持つ森林研究については動物・昆虫や風致に関する内容を挙げる者が多く、森林への漠然としたイメージや学校行事としての宿泊体験学習での活動内容が影響しているものと考えられた。
抄録全体を表示