本研究では,1999 年,2009 年および2018 年告示の新旧高等学校学習指導要領における森林・林業に関係する3科目(「森林科学」,「森林経営」,「林産加工」もしくは「林産物利用」)の教育内容について,林業の専門書の内容と,技術科教育の視点から提案されている生物育成技術を構成する概念群を用いて分類した。その結果,2009 年の学習指導要領では,はじめに森林と社会の関係性を学習しており,なおかつ3科目で内容の重複がみられることが明らかとなった。2018 年の新しい学習指導要領では,問題の解決に取り組む授業として,森林の育成と活用の実践,森林経営の実践,林産物利用の実践が位置付けられると考えられた。一方で,専門書の一つの章に記述され,生物育成技術の概念群を構成する内容にもかかわらず,育苗と育種に関わる技術の指導項目が森林科学から削除されていることが明らかとなった。