抄録 : 【目的】重度の失語のある人々 (persons with severe aphasia: 以下 PWSAs) から正確な情報を引き出すために有効な会話技術について検討した. 【方法】PWSAs が観た動画の内容を対話者が聞き出す情報伝達実験を行い, 会話分析を基に情報伝達率を計測した. 得られた会話データから情報伝達率の高い会話群と低い会話群を抽出し, 観察された会話技術の使用度数と PWSAs の応答の正確さを
両会
話群で比較した. 【結果】高伝達率会話群は低伝達率会話群よりも, 紙面に視覚的情報を提示する描画および選択質問と, PWSAs の理解および表出の内容を確認する会話技術を多く使用していた. また会話技術使用直後における PWSAs の応答の正答数は高伝達率会話群で多く, 誤答数は低伝達率会話群で多かった. 【結論】PWSAs から正確な情報を引き出すには, 話しながら描画や文字の情報を紙面に記すこと, PWSAs の理解や表出を確認する会話技術を使用することが有効であった.
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